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┏週刊━━━━━ ┃世界 ┃キリスト教 ┃情報No.1619 ┗━━━━━━━ 2022.1.31 (連絡先:ckoriyama@gmail.com=ご連絡いただく際は「@」を半角にしてください) =目 次= ▼教皇「一致の歩みのために、回心の勇気を」、エキュメニカルな夕べの祈りで ▼同性愛の子非難しないで、教皇が親に呼び掛け ▼教皇、カトリック系メディア関係者と会見、「真実の追求とともに、人間の尊重を」 ▼前教皇、虐待行った聖職者の検討会議に出席したと認める=米CNN報道 ▼スイスで自殺を考える若者が急増=医療専門家が指摘 ▼台湾に生涯ささげた英国人宣教師の生き様描いた漫画が出版へ ▼ビザンツ帝国時代の教会、ガザ地区で一般公開 ▼ボッティチェリのキリスト画が52億円で落札=米で競売 ▼《メディア展望》 ―――――――― ◎教皇「一致の歩みのために、回心の勇気を」、エキュメニカルな夕べの祈りで ※画像参考=2022年1月25日 ローマ・聖パウロ大聖堂 (ANSA) 【CJC】バチカン・ニュースによると「聖パウロの回心」を祝った1月25日、「キリスト教一致祈祷週間」の最終日を迎え、ローマの城壁外の聖パウロ大聖堂(サン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ)で、エキュメニカルな夕べの祈りが行われた。 この夕べの祈りには、教皇フランシスコはもとより、諸キリスト教教会のローマにおける代表者、様々な教会に属する世界各国の学生たちが参加した。 教皇は集いの説教で、救い主との出会いを求めベツレヘムに向かう東方三博士の歩みと、完全な一致を目指すキリスト者たちの歩みを重ねられた。 博士たちは、星を見て東の方から旅立った。陽の光が上る東方から、さらに大きな光を求め、自分たちの知識や伝統だけに満足することなく、神を求める心に突き動かされて、彼らは出発した、と教皇は話した。 イエスの一致への招きに答え、わたしたちもまた、三博士のように互いに支え合いながら歩むことを望んでいる、と述べた教皇は、伝統的に様々な衣装で描かれる三人の博士は、民族の多様性だけでなく、異なる伝統を持つキリスト者たちをも象徴している、と指摘された。 博士たちはまずエルサレムに着いたが、天上を求める彼らが見たものは、ユダヤ人の王が生まれたと聞いて「不安を抱いた」ヘロデ王とエルサレムの人々の地上の残酷な現実であり、空の星の輝きに対する、世の闇の暗い力であった、と教皇は語った。 わたしたちも、一致への歩みの間には、習慣や安穏を揺さぶる新しい物事への不安に襲われることもあるだろう、と教皇は述べつつ、しかし復活の主はわたしたちをこうした不安から解放し、「恐れることはない」と励ましてくださるだろう、と話した。 ベツレヘムに到着した東方の三博士は、家に入り、ひれ伏して幼子を拝んだ。教皇は、一緒に同じ家に入り礼拝した博士たちの姿は、ガリラヤの山で復活したイエスを前に一致した弟子たち(参照:マタイ28・17)を先取りすると共に、一致のための旅を続けるわたしたちにとって預言的なしるしである、と語られた。 博士たちは「別の道を通って」(マタイ28・12)自分たちの国へ帰って行った。教皇は、イエスに出会う前のサウロのように、わたしたちも主が示す謙遜と兄弟愛と礼拝の道を見出すために、自分たちの習慣や都合という進路を後退し、道を変える必要がある、と述べた。 教皇は、神の御旨に従い、一致の歩みを共に続けるために、道を変える勇気、回心の勇気を与えてくださいと、主に祈られた。□ ―――――――― ◎同性愛の子非難しないで、教皇が親に呼び掛け 【CJC】ローマ発共同通信によると、教皇フランシスコは1月26日、子どもが同性愛者であっても非難しないよう親たちに呼び掛けた。子育ての難しさに触れ「異なる性的指向の子ども」を責めないよう訴えた。バチカンで行われた水曜日恒例の一般謁見で発言した。ANSA通信が報じた。 カトリック教会は同性愛をタブーとしているが、教皇は柔軟な姿勢を見せてきた。2020年に上映されたドキュメンタリー映画「フランシスコ」の中では「同性愛者も家族になる権利を持っている」と述べ、事実上の結婚を社会的に認めるべきだとも語っている。□ ―――――――― ◎教皇、カトリック系メディア関係者と会見、「真実の追求とともに、人間の尊重を」 ※画像参考= 教皇フランシスコとカトリック系メディア関係者との出会い(2022年1月28日=Vatican Media) 【CJC】「バチカン・ニュース」(日本語)によると、教皇フランシスコは1月28日、「ファクトチェック」に取り組むメディア関係者と会見した。 この日、バチカンを訪れたのは、「ファクトチェック」(情報が事実かどうかの検証)を推進する各国の様々なカトリック系メディアによる団体「カトリック・メディア・ファクトチェッキング」のメンバーたち。 教皇は集いの言葉で、特に新型コロナウイルスに関連する情報に教会のメディアはどのように対応すべきかを考察された。 今日、パンデミックと共に広がる「インフォデミック」を無視することはできない、と述べた教皇は、恐れに基づく現実の歪曲が、偽りの情報や捏造されたニュースとなって、グローバル化した社会の中でエコーを響かせ、情報の受け手側を混乱させている、と話した。 正確な情報を受け、科学的データを基に理解の助けを得ることは、人間の一つの権利であり、それは特に十分な情報収集手段を持たない人々や、社会で弱い立場に置かれた人々に保証されるべきことである、と教皇は語った。 教皇は、キリスト者は不正義や偽りに対抗すべきであるが、常にそれは「人々のため」であることを忘れてはならない、と話し、偏った情報やフェイクニュースと闘いながらも、人間を尊重することを忘れないようにと願った。 そして、キリスト者はメッセージの伝達者として、真実の追求においても、福音的態度をもって橋をかける人、平和を作る人となり、人を見下したり、現実を単純化する態度をとることがないように、と述べた。 科学が常に問題解決に近づく努力を続ける一方で、現実もまたわたしたちの想像以上に複雑さを増していく、と教皇は語り、人々の疑問や不安を尊重しつつ、高圧的な態度をとることなく、寄り添うことが必要と話した。 パンデミックはわたしたちに、何が本質で何が重要かに気づかせ、皆が共に救われることの必要に目を開かせた、と述べた教皇は、皆が共にあること、対立し合わないことが大切であると説いた。 また、教皇は、真実の追求が、商業的視点や、権力者の利害、経済上の大きな関心に曲げられることがないようにとも述べ、共に真実を求めることが、より情報の行き渡った正しく健全で持続可能な社会の構築と、共通善の推進に役立つことを希望した。□ ―――――――― ◎前教皇、虐待行った聖職者の検討会議に出席したと認める=米CNN報道 【CJC】米CNNがローマ発で報じたところでは、前ローマ教皇ベネディクト16世(94)は1月24日、虐待を行ったカトリック教会聖職者に関して検討した1980年の会議に出席していたことを認めた。これまで出席を否定していたが、「自身の声明の編集上の誤り」が原因だったとしている。CNNはタイム・ワーナー・グループの傘下ターナー・ブロードキャスティング・システムが所有。米ジョージア州アトランタ市に本拠を置いている。 独ミュンヘン大司教区で起きた聖職者による虐待の調査結果は20日、公表された。それによれば、前述の会議の議事録にはベネディクト16世の出席が記録されており、前教皇による出席の否定は「信じがたい」との評価を受けていた。ベネディクト16世は77~82年に同教区で大司教を務めていた。 前教皇は、個人秘書を通じてカトリック系の通信社に出席を認める声明を出した。この秘書によれば、誤りは「悪意から生まれたもの」ではなく、調査に対する「声明の編集過程で生じた誤りの結果」だったという。 秘書によれば、前教皇はこの件について「大変申し訳ない」気持ちで、許しを乞う姿勢を示している。前教皇は後日、詳細な声明を発表する予定。1900ページに及ぶ報告書に目を通すのに時間を要するとしつつ、これまで読んだ内容から、被害者が受けた「苦痛に恥と痛みを感じる」と述べた。□ ―――――――― ◎スイスで自殺を考える若者が急増=医療専門家が指摘 ※画像参考=チューリヒ大学病院精神医学クリニックの児童・思春期精神医学・カウンセリング主任医師、グレゴール・ベルガー氏は「緊急事態なのに、我々は火消ししかできない。このままではいけない」と語る Keystone / Patrick B. Kraemer 【CJC】スイスの主要都市ベルンとチューリヒで昨2021年、10代の自殺未遂件数が急増した、とドイツ語圏の日曜紙「ゾンタークス・ツァイトゥング」が報じた。専門家は、国の登録簿を作り、現状の把握改善に努めるべきだと指摘する。スイス公共放送協会(SBC)の国際部がスイスに関するニュースを10カ国語で配信しているメディア「SWI」(日本語)によって紹介する。 同紙によると、ベルン大学児童・思春期精神医学・心理療法クリニックの救急病棟では昨年、自殺念慮を抱く未成年者の受け入れ数が50%増加した。同様の増加は2019~20年にも見られた。 同クリニックのミハエル・ケース院長は同紙に「秋から冬のある時期に、自ら命を絶とうとしたり、その寸前まで追いつめられたりした患者が複数訪れた」と語った。 同クリニックで治療を受ける若者の数は、救急病棟の収容上限のほぼ3倍に上る。休暇中の夏は通常、青少年のストレスは軽減されるが、昨年は異なった。ケース氏は「2度目の(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的大流行)の年は、7月や8月でさえもほぼ満杯だった。今は完全に過負荷の状態だ。入院患者数は爆発的に増加している」とした。 国内の10~19歳の死因で最も多いのが事故で、その次が自殺だ。連邦統計局によると、10~19歳の若者約35人が毎年、自ら命を絶っている。全年齢層の自殺率はここ数年、大きな変化はない。 「ゾンタークス・ツァイトゥング」によると、チューリヒ大学病院精神医学クリニックも状況は深刻だ。 児童・思春期精神医学・カウンセリング主任医師のグレゴール・ベルガー氏は「緊急事態なのに、我々は火消ししかできない。このままではいけない」と危機感を募らせる。同クリニックが認知した若者の自殺件数は昨年、278件に上った。ただ同氏は、州全体の件数の1割に過ぎないだろう、と見る。 同氏は「パンデミックで、思春期の子供たちは大人よりも遥かに苦しんでいる」と指摘。しかし、若者の間では過去10年でこうした現象が増加していると強調する。 同氏は国内の状況を明らかにするために、自殺未遂件数に関する国の登録簿を作成するべきだと話す。 「起こったケースは体系的に記録する必要がある。そうすることでしか、若者の多くが心理的危機に陥り、最悪の場合、死を唯一の出口だと捉える原因を理解することはできない」。 連邦内務省保健庁もデータ不足を認識している。しかし、登録簿を作るための法的根拠がなく、データ保護の問題もあるため作成は不可能だとしている。□ ―――――――― ◎台湾に生涯ささげた英国人宣教師の生き様描いた漫画が出版へ ※画像参考= 「台湾名人伝記漫画:巴克礼(台文版)」=時報出版 【CJC】台北発中央社が1月28日伝えたところによると、清朝時代から日本統治時代にかけて、台湾で布教活動に取り組んだ英国人宣教師トマス・バークレー(1849~1935年)の人生を描いた漫画「台湾名人伝記漫画:巴克礼(台文版)」が出版される。 バークレーは1875年に台湾を訪問。台湾語のローマ字表記推進や、台南神学院(神学校)を設立するなど、人材育成に取り組んだ。また台湾初の新聞とされる「台湾府城教会報」を発行し、教義の宣伝や信者の教育を進めたほか、晩年にはローマ字で表記したアモイ語の新約・旧約聖書「厦門音羅馬字聖経」の改訂やアモイ語・英語辞典「厦英大辞典」の増補にも力を注いだ。 1895年に日本が台湾を統治した際にもバークレーは海外に脱出せず、日本側と交渉。台南を平和的に無血開城させる役目も果たした。 漫画家の蠢羊さんが手掛けた漫画のせりふは台湾語で表記されているが、付録として中国語の対訳が書かれた冊子がつく。出版元の時報出版は、バークレーの一生を通じて、台湾が西洋文化の影響を受けて移り変わる様子や、統治者が次々に交代する中での破壊と再生を知ることができるとアピールした。□ ―――――――― ◎ビザンツ帝国時代の教会、ガザ地区で一般公開 【CJC】5世紀のビザンツ帝国時代の教会が1月24日、3年の修復期間を経て、パレスチナ自治区ガザ地区で一般公開された。ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは、「兄弟宗教のキリスト教徒」を受容している証しだとうたっている。 広さ約800平方メートルの教会と修道院の遺構は、1997年にガザ地区北部ジャバリアで見つかった。ジャバリア発AFP=時事通信が報じた。 ハマスによると、教会の床には動物や狩りの様子、ヤシの木などが描かれた「珍しい」モザイク画が施されている。このモザイク画は、新たに設置された木造の通路から眺めることができるようになった。 ガザ観光当局によると、教会の壁には東ローマ皇帝のテオドシウス2世(在位408年~450年)がビザンツ帝国を治めていた時代の古代ギリシャ語で宗教的な言葉が書かれていたという。 ガザ地区の教会関係者によると、2007年より前には7000人いたキリスト教徒は現在、わずか1000人ほどになっている。 ガザ公共事業当局のイッサム・ダーリス氏は、教会の修復について、ハマスが「兄弟宗教のキリスト教徒」を「ガザに受け入れている」証しだと語った。□ ―――――――― ◎ボッティチェリのキリスト画が52億円で落札=米で競売 ※画像参考=ニューヨークのサザビーズで展示されるボッティチェリ作「悲しみの人」(2022年1月21日撮影)。(c)Ed JONES / AFP 【CJC】イタリア・ルネサンスの巨匠サンドロ・ボッティチェリがイエス・キリストを描いた希少な作品が1月27日、米競売大手サザビーズによるニューヨークでのオークションで約4500万ドル(約52億円)で落札された。AFP通信が報じた。 今回出品されたのは、ボッティチェリが晩年、1500年代初頭に描いた「悲しみの人」。3人が電話で7分間の入札合戦を行い、最終的に3930万ドル(約45億円)で落札された。手数料などを合わせ、総額は4541万ドル(約52億5000万円)に上る。 新型コロナウイルスの世界的大流行の影響で、2020年に低調だったアート市場は、翌21年には活況となり、競売各社もその恩恵を受けた。サザビーズは同年、73億ドル(約8400億円)を売り上げ、過去最高を記録した。□ ―――――――― 《メディア展望》 =カトリック新聞(1月30日)=http://www.cwjpn.com/cwjpn/ ▼教皇フランシスコ=外交使節団への年頭演説=ワクチン誤情報の検証促す ▼教皇の一般謁見講話=尊厳ある仕事に就くこと ▼米南西部の大司教=核廃絶への対話呼び掛け ▼バチカン、感染対策強化=ワクチン接種義務化など ▼外国にルーツがある人たちに差別的職務質問が横行=東京弁護士会=アンケート調査を開始 =KiriShin(1月21日・既報)=http://www.kirishin.com =クリスチャン新聞(1月30日)=http://クリスチャン新聞.com ▼「瓦礫の中に希望が埋まっている」=阪神淡路大震災追悼のつどい=各地の大災害にも思いを寄せ27周年 ▼池明観氏が死去=韓国軍事政権の実態を伝えた ▼マクグラス氏発題講演=東日本大震災国際神学シンポ開催へ=教会を支え、包む神学的進展に ▼「女性らの声いまも」=三浦綾子原作 『矢嶋楫子伝』映画化 ▼映画「誰かの花」奥田裕介監督に聞く=自分だったらどうするか?問う ========== ■
by cjc-skj
| 2022-01-31 22:30
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