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┏週刊━━━━━
┃世界 ┃キリスト教 ┃情報 No.1080 ┗━━━━━━━ 2011.10.3 (連絡先:cjcpress@gmail.com) = 目 次 = ▼首位権問題討議にヒラリオン府主教は慎重 ▼パレスチナ・イスラエルの両立をバチカン支持 ▼「宗教の自由」擁護に立つ米カトリック教会 ▼米国防総省が従軍牧師に同性婚結婚式司式認める ▼教会?刑務所?初犯者に選ばせる米警察の計画延期 ▼《短信》 ▼《メディア展望》 ―――――――― ◎首位権問題討議にヒラリオン府主教は慎重 【CJC=東京】ロシア正教会モスクワ総主教座の対外担当ヒラリオン府主教が、教皇べネディクト16世と9月29日会見した。その後、大主教はバチカン放送に、「東方正教会は今なお、自らの間の権威という問題の解決を迫られている。それは将来的には『教皇職』に係るもので、それに関して正教会内に意見の相違、様々な立場がある」と語った。 「“ローマ司教”の首位権について論議するなら、ローマの首位権だけでなく、首位権自体について触れなければならない。正教会にはカトリック教会のような集中的な制度がないという異なった伝統があり、正教会内での“第一の長”の役割に関しては内部でも理解の差がある」と言う。同大主教の発言が『カトリック教会と正教会の間の神学的対話に関する合同国際委員会』の今後の方向に関してのものであることは明らかだ。 2007年にカトリック・正教会委員会が開催された時、ヒラリオン府主教も参加する予定だったが、エストニアの正教会を巡り、コンスタンチノープルのエキュメニカル総主教座とモスクワ主教座との間で対立があり、ロシア正教会が退席する事態となったことがある。両者はアメリカ正教会の地位についても対立している。 府主教は、これらの対立に関して明確に「もしもある正教会が他の教会に対する首位権という自らの考えを押し付けようとするなら、当然のこと困難に直面することになる。そしてこれが現在起きていることだ」と述べた。 世界各地の自立正教会が『汎正教会協議会』開催の動きも出ているが、それもコンスタンチノープル総主教の権威の決定を意図したもの。「その役割は名誉的な首位であるべきだと信じており、調整役でもある。たとえば汎正教会公会議を運営するようなことだ。それより以前、公会議を運営したのはコンスタンチノープル総主教でもなければローマ教皇でもなくビザンチン皇帝だった」として、「統一した見解を持たない限り、普遍教会における『プリムス・インテル・パーレス』(同格の中の第一番)が教皇職の役割だとすることについて安易に協議することは出来ない」と府主教は認める。 一方、2010年に発表した著書『世の光』の中で、教皇べネディクト16世は、教皇を同格の中の第一番とする見解は、その「特別な機能と働き」から見て、カトリック者として信じている形態とは全く異なるもの、と指摘している。 モスクワ総主教座が成立した1589年以来、教皇とモスクワ総主教との会談は未だ実現していないが、府主教は、それについても慎重な姿勢を見せた。 コンスタンチヌス帝によるキリスト教公認1700周年に当たる2013年に両者の会談が実現する、との観測もあるが、府主教は、カトリック者もロシア正教会信徒も、両者会談がいつ行われるか結論を急ぐべきではない、と語った。 教皇は、このほどドイツを訪問した際にも、現地の正教会代表と会談、人間はその義務のために尊敬されることを確実にするためキリスト者に共通する関わりについて言及した。 府主教も、教皇自身については好意的な発言をしている。「教皇は信仰の人であり、彼と会見する時にはいつもその霊、勇気、世界大の教会の生命に対する貢献によって力付けられる。教皇の正教会の伝統に関する教皇の知見、カトリックと正教会の間の対話についえの彼の関心には、深く印象付けられた。このローマ・カトリック教会首座の姿勢は、より良い相互理解に大きく貢献するものだ」と言う。□ ―――――――― ◎パレスチナ・イスラエルの両立をバチカン支持 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)国務省外務局長のドミニク・マンベルティ大司教は9月27日、国連総会で演説、パレスチナ自治政府の国連加盟申請を取り上げ、パレスチナ市民が独立国家を持つ権利と、イスラエルの安定という権利を認めることが必要だ、と主張した。 パレスチナ独立をエルサレムのラテン典礼総主教は強く支持していたが、バチカン自体はこれまで、パレスチナ自治区の国連加盟については言及しない立場を取っていた。□ ―――――――― ◎「宗教の自由」擁護に立つ米カトリック教会 【CJC=東京】米国で進む「宗教の自由の崩壊」に教会としての応答を確実なものにしようと、米カトリック司教協議会がアドホック委員会を設置する、と9月30日発表した。委員長にはウイリアム・ロリ司教(ブリッジポート教区)が就任した。 発表が、経口避妊薬や避妊具も全従業員の保険サービスの範囲に含めるという保健社会福祉省が定めた暫定規定についての意見書提出締め切りと同日となった。 政教分離を定めた米国の憲法修正第1条に触れる可能性のある問題に直接に踏み込む決意をも示したとも見られる。 ロリ司教はインタビューで、「司教は、宗教の自由が米国の様々な局面、連邦、州、そして文化的なレベルで攻撃にさらされているとの結論に達した。司教はこの問題を重要な優先課題と認めた」と語った。 司教協議会会長のディモシー・ドーラン大司教(ニューヨーク)は、新設した委員会は、協議会の応答姿勢を確実なものとし、修正第1条に対する攻撃への教会と法律学者との広範な協力を展開するためのもの方策の一つだ、としている。□ ―――――――― ◎米国防総省が従軍牧師に同性婚結婚式司式認める 【CJC=東京】米国防総省は9月30日、同性間結婚を合法としている州では、軍施設の内外で行われる私的な結婚式を従軍牧師が司式することを認めたクリフォード・スタンリー国防次官のメモを公表した。クリントン政権当時の1993年に採択された『問わず、語らず』方針のもとでは、軍内部で同性愛者であることを公言したことを理由に約1万4000人が除隊処分を受けており、同性愛兵士たちから禁止政策撤回を求められていた。 ただし従軍牧師は、個人的あるいは宗教的信念に反する私的な結婚式に立ち会うことを強制されることはなく、また従軍牧師が同性間結婚式に参加した場合でも、米国防総省がその結婚式を是認したことにはならない、としている。 連邦政府は同性婚を認めていないため、同性のパートナーを持つ兵士は、健康保険などの面で異性婚の夫婦が受けているのと同じ便益を受けられない。今回の措置を歓迎する側、反対する側双方から、同性間結婚を認めていない州に転属された場合のことを考慮したのか、と懸念する声も上がっている。 現在、米国で同性婚を認めているのはコネティカット、アイオワ、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、ニューヨーク、バーモントの各州とワシントン・コロンビア特別区。 『問わず、語らず』方針に立った規制規定は、国防総省が今回の発表を行った10日前の9月20日に撤廃されている。□ ―――――――― ◎教会?刑務所?初犯者に選ばせる米警察の計画延期 【CJC=東京】米アラバマ州ベイミネット町(人口約8000人)の警察が、非暴力的な犯罪で有罪判決を受けた場合、初犯なら刑務所か教会を選ばせるという計画を打ち出したが、『米自由人権協会』(ACLU)が、同計画を政教分離を定めた連邦憲法と州憲法に著しく違反していると批判し、アラバマ支部が計画の即時停止を要求、町側が実施を当分延期することを決めた。 『コミュニティ再生作戦』と銘打ったこの計画、軽罪で有罪判決を受けた初犯者に、1年間、週に1回教会に通うか、服役や罰金を選ばせるというもの。教会に通うことを選択した人は、地元の警察などが監視する。受刑者1人につき1日75ドル(約5800円)掛かることも頭にあったようだ。 マイケル・ローランド同市警察署長は、すでに州内56教会から協力を表明されたとし、市民からも「圧倒的な」支持が得られていると語っていた。□ ―――――――― ◆短信◆CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。 ≪アジア≫ ▽前カトリック新聞編集長のウイリアム・グリム神父が、バチカンがアジアのカトリック教会にイタリア風のやり方を押し付けるのは悲劇だ、とUCAN通信で指摘した。 ▽平和への多難な道のりの中にあってもフィリピンはモデルだ、とアジア・キリスト教協議会のカルロス・オカンポ正義・国際・開発・奉仕担当が、同国政府と反政府勢力との間の協議を評価した。 ▽インドネシア・ジャワ島のべテル・インジル・セプル教会で9月25日礼拝中に自爆テロがあり28人が重軽傷。 ≪中東≫ ▽死海文書のうちイザヤ全書、教団規定、ハバクク書注解、神殿の巻物、戦いの書の5巻が9月26日、オンラインで公開された。イスラエル博物館と米グーグルが参加している共同プロジェクトの一環。 ▽イスラエル政府は9月27日、占領地東エルサレムの南部ギロに、ユダヤ人住宅約1100戸の建設・入植計画を承認した。国際法では占領地での入植は違法とされ、アッバス議長は23日の国連総会演説で入植活動の不当性を訴えていた。 ≪欧州≫ ▽ロシア正教会モスクワ総主教座は、ウラジミル・プーチン氏の次期大統領選出馬を前向きに評価している。公共部門担当のフセフォロド・シャプリン大司祭が明らかにした。 ▽ウイクリフ聖書翻訳協会はこの8月、イスタンブールで「神の子」「父なる神」をイスラム世界での文脈による解釈について検討した。 ▽マザー・テレサの像の除幕式典が9月24日、モスクワ大司教座聖堂に隣接した場所で行われた。マザーが設立した宣教会運営のホスピス1棟が取り壊され、さらに拡大が懸念されている中でのこと。 ▽教皇べネディクト16世は、結婚の誓約がされているものの実行されていない事例などの教会法上の扱いを典礼秘跡省の管轄から外す「使徒書簡」を9月26日発表した。同省を典礼革新に専念させるため。 ▽教皇べネディクト16世は2012年5月20日の「世界広報の日」のテーマに「沈黙と言葉=福音の道」(仮訳)を取り上げた。 ▽教皇べネディクト16世は11月18日にアフリカのベニンを訪問する。3日間の日程。 ▽教皇べネディクト16世が来年4月に85歳を迎えるのを機会に辞任を考えている、とのイタリア紙『リベロ』のアントニオ・ソッチ記者の観測には、根拠がない、とバチカン(ローマ教皇庁)のフェデリコ・ロンバルディ報道担当が反論した。 ▽南仏ニースの教会で10月1日、カトリック教会が通信事業の守護者としている大天使ガブリエルの日を祝して、信徒らの携帯電話に神の祝福が与えられた。AFP通信が報じた。 ▽この8月に、教皇べネディクト16世も参加したカトリック教会の『世界青年の日』が開催地マドリッドに与えた経済効果は2億米ドル(約140億円)以上、と同市側が算定した。 ▽英国国教会が発表した2009年財務報告によると、教会員の献金は週10・06ポンド(約1200円)と初めて10ポンドの大台に乗った。 ▽『ものみの塔聖書冊子協会』の雑誌『ものみの塔』の7月号に掲載された「偽の教師」は「精神的に病んでいる」ので避けるよう警告する記事が英国の宗教憎悪法に触れると脱会者の告発があり、警察が捜査を開始した。 ▽英ランカシャー州ブラックプールで聖書喫茶を経営していたジェミー・マレー氏が、このほど掲示した聖書の語句が「同性愛嫌悪」に当たる、と警察から警告された。BBC放送が報じた。 ≪アフリカ≫ ▽エジプトの人権団体連合がキリスト者の出国がこの3月以来10万人近くになった、という報告書を発表した。 ▽エジプト南部アスワン州のエドフ村で9月30日夕、イスラム教過激派が改築途中のコプト教会堂を襲撃、天井、壁、柱などを破壊、さらに資材置き場に放火した。 ▽イスラム教過激派が9月30日、エジプト南部アスワン州エルマレナブ村のマル・ゲルゲス教会を襲撃、破壊した。付近のキリスト者の住居や事務所も襲われ、略奪もあったという。 ▽「もったいない」で知られるワンガリ・マータイさん(71、カトリック信者)が9月25日、がんのためナイロビで死去。 ▽死者100人以上を出した石油輸送パイプラインの爆発を受けて、ケニア聖公会のエリウド・ワブカラ大主教は、危険にさらされている市民を安全な場所に即時移住させるべきだ、と語った。 ▽ナイジェリアのイスラム過激派がニジェル州とカドゥナ州でキリスト者8人を9月22日殺害した、と米宣教通信コンパス・ダイレクトが報じた。13歳の少女も含まれている。 ≪北米≫ ▽落馬して重傷を負った米大衆伝道者ジェームス・C・ドブソン氏がコロラド・スプリングスの病院を2週間ぶりに退院した。 ▽ゴスペルシンガーで作曲家のジェシー・ディクソン氏が9月26日、シカゴの自宅で死去した。 ▽カナダ・マニトバ州の英国国教会ルパーツランド教区は副教区長兼ウイニペグの聖ヨハネ大聖堂牧師に福音ルーテル教会のポール・ジョンソン牧師を任命した。両派は2001年以来、完全相互聖餐関係にあるが、歴史的な人事。 ―――――――― 《メディア展望》 =カトリック新聞(10月2日)=http://www.cwjpn.com ★広島教区の新司教叙階=「生かし合い、仕え合って」 ★仙台教区年記念=第40回福島県カトリックの集い=主において ひとつ ★公会議文書読み返す=カトリック神学会=50周年を前にシンポ=東京 ★北海道・道東9教会の信徒大会=温暖化、環境問題考え ★教皇、3度目のドイツ訪問=神への無関心に警告発する =キリスト新聞(10月1日)=http://www.kirishin.com ★日本聖書協会=聖書新翻訳事業で初の全体会議=書名変更の可能性も議論 ★映画「沈黙の春を生きて」=米帰還兵の子どもが被災地を訪問=枯葉剤と原発に共通点 ★埼玉=敗戦記念日集会で大嶋氏=“いのち活かす教会教育を” ★米国務省「国際宗教の自由」報告書=“懸念される国”=中国、イランは反発 ★米同時多発テロ10年=キリスト教指導者らが声明 =クリスチャン新聞(10月2日・休刊)=http://jpnews.org ―――――――― ◆世界キリスト教情報◆ご案内 ☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)お申し込みは http://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。 ☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)お申し込みは cjcpress@gmail.comまで。 ☆既刊号は下の各サイトで ・ニュースレター=PDF http://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/ ・メールマガジン http://blog.livedoor.jp/skjweekly/ ・同報メール http://cjcskj.exblog.jp/ ☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください http://www.kohara.ac/church/ …………………… ☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます。転載使用ご希望の方は巻頭の連絡先までお申し込みください) http://blog.livedoor.jp/cjcpress/ ☆CJC通信速報(Twitterを利用しています) http://twitter.com/cjcpress/ ―――――――― ■
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| 2011-10-03 23:02
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