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┏週刊━━━━━
┃世界 ┃キリスト教 ┃情報 No.1059 ┗━━━━━━━ 2011.5.9 = 目 次 = ▼カイロでコプト教徒とイスラム教徒が抗争 ▼革命支援するな、とグレゴリオス3世総主教 ▼週刊誌タイムの表紙に×印付きオサマ・ビンラディン ▼根本的な改革だけが教会を救う、とキュンク氏講演 ▼ウガンダの同性愛活動家が人権擁護賞を受賞 ▼米福音派出版協の『キリスト教書賞』に『ボンフェッファー』 ▼《短信》 ▼《メディア展望》 ―――――――― ◎カイロでコプト教徒とイスラム教徒が抗争 【CJC=東京】エジプトの首都カイロのインババ地区で5月7日、キリスト教コプト教会信徒とイスラム教徒の間で抗争が発生、国営テレビによると、10人が死亡、232人が負傷した。 「サラフ主義者」と呼ばれるイスラム原理主義の群衆数百人がコプト派聖メナ教会に押し掛け、イスラム教に改宗したコプト教聖職者の妻が行方不明になったが、「教会が女性を誘拐した」ためと抗議、これにコプト側が反発、信者が教会を守るために集合した。 問題の女性が同日、衛星テレビに出演し、改宗していないと述べたため、イスラム教徒側が憤りを強め、衝突に発展した。 双方は銃を撃ち合ったり、火炎瓶や石を投げた。同教会ともう1カ所の教会が放火された。ただ双方が協力して消火に努めたとの情報もある。 英公営BBC放送によると、190人が逮捕され、200人が軍事法廷で裁判に掛けられる、という。 イスラム教国エジプトで、国民の10%弱がコプト教信者。国内での宗教対立は近年、増加傾向にある。カイロでは3月にも両教徒の衝突があり13人が死亡している。ただ一連の抗争は、宗教間の対立ではなく、反革命勢力による扇動との見方もある。 エッサム・シャラフ首相はバーレーンとアラブ首長国連邦訪問を中止、事態収拾のため8日、緊急閣議を招集した。□ ※関連短信 ▽聖メナ教会のエルミナ主任司祭はAFP通信に、死者のうち少なくとも5人はコプト教徒だ、と語った。 ―――――――― ◎革命支援するな、とグレゴリオス3世総主教 【CJC=東京】メルキト典礼カトリック教会のグレゴリオス3世総主教が、西側指導者に中東を揺さぶっている一連の革命を支援するべきではない、と警告した。 「わたしたちアラブ諸国は革命への備えもなければ、ヨーロッパ的な形態をモデルとした民主主義への備えもない。アラブ世界に無条件に革命を奨励しないことを求める」と、このほど西側指導者に送った書簡で、総主教は述べている。 総主教の出身地シリアでは、政府が大衆デモに反発、数百人を殺害している。 メルキト典礼カトリック教会に属す信徒は約160万人。□ ※関連短信 ▽『国際キリスト教コンサーン』(ICC)は、シリアでこのところイスラム教過激派の主導する反政府勢力がキリスト者を襲撃する事件が続発している、と報じた。バシル・アサド大統領辞任を要求する抗議に参加するか、国外脱出を迫られている、という。 ▽ビンラディン殺害、地域の教会には脅威。パキスタン政府に保護要請。 ―――――――― ◎週刊誌タイムの表紙に×印付きオサマ・ビンラディン 【CJC=東京】米週刊誌タイムが5月20日特別号表紙でオサマ・ビンラディン容疑者を掲載、その顔に血の色でバツ印を付ける、と発表した。 同誌88年の歴史の中では、1945年5月7日号のアドルフ・ヒトラー、サダム・フセイン(2003年4月21日号)、アブ・ムサブ・ザルカウィ(2006年6月21日号)に次ぐ4回目。□ ―――――――― ◎根本的な改革だけが教会を救う、とキュンク氏講演 【CJC=東京】カトリック教会は深刻な末期症状にあり、正直な診断と根本的な治療が必要だ、とカトリック神学者ハンス・キュンク氏が5月2日、ミュンヘンの『リテラトゥールハウス』で行われた、自著『教会はまだ救えるか』を紹介する講演の中で語った。世界教会協議会系のENIニュースが報じた。 キュンク氏は、最も率直に発言するカトリック神学者の1人。現教皇ベネディクト16世とは、かつてチュービンゲン大学で共に教えていた経緯がある。1971年、教皇の不謬性を問題にしたことで、カトリック神学を講じる資格「ミッシオ・カノニカ」を剥奪され、それ以後はチュービンゲン大学のエキュメニカル神学の教授になった。 キュンク氏は、教会の病気は最近の性的虐待スキャンダルに留まるものではない、と言う。 米国のカトリック教会は会員の3分の1を失ったとして「アメリカのカトリック教会は、理由を追求して来なかった。どこの組織であれ、会員の3分の1を失ったら、その理由を知りたいと思うだろう」と言い、さらにドイツの司教の8割が改革を歓迎している、と語った。 講演会場は、かつて教皇ベネディクト16世が司教をしていたミュンヘン・フライシング教区にある。ほとんどが高齢の聴衆に向かって、キュンク氏は「この本を書きたくはなかった。今も『わたしの教会』である教会に、批判的な出版物を献じるのは楽しいことではない」として、ミサ執行の際にラテン語ではなく現地語を使うといった、様々な方法で60年代初期に教会を改革した第2バチカン公会議の精神に示された道を、教皇が進むよう希望する、と語った。 しかし教皇ベネディクト16世は、第2バチカン公会議とは距離を置き、「世界規模に広がった聖職者による性的虐待と対決できなかった。教皇は、本質的には中世の典礼、神学、教会規則に叶った人物」と言う。 性的虐待問題が表面化してから再燃してきた独身論議に関して、キュンク氏は「ローマ・カトリック教会は最初の1000年間、独身制なしで存在し続けてきた」として、司祭・司教に結婚を認めることに強く賛成している。 キュンク氏はもう一度、「教会はまだ救えるか」と問いかけ、数百万人ものキリスト者の期待に応えようとする教会のビジョンを捨ててはいないが、いくつかの条件が満たされなければならない、と語った。 改革に当たっては、キリスト教的急進論、普遍性と一貫性が必要だとして、「希望をあきらめることはなかったし、これからも希望を持ち続ける」と言う。□ ※関連短信 ▽典礼改革には伝統尊重すべし、と教皇ベネディクト16世。 ―――――――― ◎ウガンダの同性愛活動家が人権擁護賞を受賞 【CJC=東京】ウガンダの同性愛活動家カシャ・ジャクリーヌ・ナバゲサラ氏が人権擁護のためのマーティン・エナルズ賞を受賞した。同賞は、国際アムネスティの初代総幹事を記念して設定されたもの。 英国国教会のクリストファー・セニョンジョ引退主教は5月6日、今回の受賞が、アフリカ東部諸国の少数派の権利擁護に貢献するものとして、「わたしたちの立場を支持し、わたしたちの苦難を理解する人が存在することを知った」と世界キリスト教協議会系のENIニュースに電話で語った。 一方、保守派教会指導者は、今回の受賞者は英雄ではなく、授賞が「不名誉な基盤」の上に行われた、と批判している。同性愛は悪であり、聖書とアフリカ社会では否定されている、という。□ ―――――――― ◎米福音派出版協の『キリスト教書賞』に『ボンフェッファー』 【CJC=東京】米福音派キリスト教出版協会(ECPA)は、2011年度の『キリスト教書賞』に、エリック・メタクサス著『ボンフェッファー=牧師、殉教者、預言者、スパイ』(トーマス・ネルソン社)を選定した。同書はノンフィクション部門で選定されている。 トーマス・ネルソン社の『キリスト教書賞』受賞は3年連続。 2010年3月の刊行以来、ボンフェッファーの著作はECPAトップ50、ニューヨーク・タイムズなどの選択でもリスト入りしており、ワシントン・ポスト、パブリッシャーズ・ウイークリー、ウォールストリート・ジャーナルなどでも取り上げられた。 『キリスト教書賞』の受賞書は次の通り。 ▽聖書部門=『HCSB・スタディ・バイブル』(ジェレミー・ロイヤル・ハワード他編、B&Hパブリッシング・グループ) ▽聖書研究部門=『ゾンダーバン・イラストレーテッド・バイブル・バックグラウンズ・コメンタリー=旧約聖書』(ジョン・H・ウォルトン編、ゾンダーバン社) ▽児童書部門=『アクション・バイブル』(セルジオ・カリエロ絵、ダグ・モース編、デービッド・C・クック社) ▽フィクション部門=『オールモスト・ヘブン』(クリス・ファブリー著、ティンダル・ハウス出版社) ▽インスピレーション部門=『ユー・チェンジド・マイライフ』(マックス・ルカード著、トーマス・ネルソン社)□ ―――――――― ≪短信≫CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。 ≪アジア≫ ▽人権団体『国際アムネスティ』が、北朝鮮の政治犯収容所では公開処刑や拷問が行われ、十分な食料を与えられず餓死する人も多いとの証言を集めた報告書を発表した。 ▽ベトナム政府は少数民族モン族で盛んなキリスト教カルト集団を伝統的なキリスト教のように見せかけようとしている、と米宣教通信コンパスが報じた。 ≪太平洋≫ ▽豪トゥンバ教区のウイリアム・モリス司教をバチカンが5月2日解任。女性と既婚男性の叙階に賛成。 ≪中東≫ ▽トルコのエルトゥグルル・グンナイ文化相が5月3日、東部のアルメニア典礼教会の修復計画を発表。周辺の緊張緩和が狙いか。 ≪欧州≫ ▽バチカン(ローマ教皇庁)衛兵34人の新入隊ミサが5月6日行われた。 ▽バチカン美術館が、7月15日までの毎週金曜日、午後11時閉館する、と開館時間延長を発表。 ▽教皇ベネディクト16世は、第34代『教会博士』の称号をアヴィラの聖ヨハネ(1499~1569)に贈る模様。 ▽モスクワに正教会200カ所新設計画は遅滞なく、とセルゲイ・ソビアニン市長。 ▽カンタベリー大主教ローワン・ウイリアムズ氏が、この1月カトリック教会に転会した主教2人の後任を5月5日任命。 ▽スペイン・ヴァレンシアの引退司教アグスティン・ガルシア・ガスコ枢機卿が、前教皇ヨハネ・パウロ2世の列福式に列席するため訪問中のローマで5月1日、心不全のため死去。80歳。 ≪北米≫ ▽米下院のチャプレンにパトリック・コンロイ神父(イエズス会)が選ばれた。 ▽米ニューヨーク州のヒックスビル高校が、キリスト教クラブの設置申請を却下。 ▽米合同メソジスト教会は監督会議会長の役割を再検討するとの提案を5月4日の監督会議で採択。 ▽米ジョージア州ブルーミングデールのニューハーベスト国際宣教団のケネス・テレル前牧師(46)が20万ドル(約1600万円)横領したことを5月4日認めた。 ▽米オハイオ州トレドのセントラル合同メソジスト教会が市中心部に「ゲイであることは神の贈りもの」との広告を掲げた。 ▽自動車事故で死去したデービッド・ウィルカーソン牧師の葬儀が5月2日、テキサス州タイラーで行われた。雑誌『カリスマ』の発行者スティーブ・ストラング氏は、同誌最近号で特集を組む計画を明らかにした。 ≪南米≫ ▽ブラジル政府は同性間の「結合」を認可すべき、と連邦最高裁。 ▽メノナイト世界会議は、次期総幹事にボコタのセザル・ガルシア氏を任命。南半球出身者では初めて。 ―――――――― 《メディア展望》 =カトリック新聞(5月8日・休刊)=http://www.cwjpn.com =キリスト新聞(5月9日)=http://www.kirishin.com ★宗教者の使命を確認=宗派超え「脱原発フォーラム」=内藤新吾氏“公開討論の場を” ★真生会館カトリック学生センターが報告会=「生きている瓦礫」を前に ★夫婦でリードオルガン修理15年=オルガニストに講習会も=伊藤信夫 園子夫妻 ★教皇=イタリア放送番組で質問に回答=「わたしも自問している」 ★混乱の中、各地でイースター =クリスチャン新聞(5月8日)=http://jpnews.org ★復興へ復活の力=被災地で希望告げるイースター礼拝 ★統一地方選=国立市長選・関口博さん惜敗=流山市長選・井崎善治さん3選 ★災害後の心のケア 相次ぎセミナー=被災地牧師らに疲れの色 ★広島宣教協力会=被災地の学校に図書送る=伝道集会を復興支援コンサートに ★相模原牧師会=共同牧会ケアで災害支援=被災地牧師家族の痛み受け止め ―――――――― ◆世界キリスト教情報◆ご案内 ☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)お申し込みは http://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。 ☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)お申し込みは cjcpress@gmail.comまで。 ☆既刊号は下の各サイトで ・ニュースレター=PDF http://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/ ・メールマガジン http://blog.livedoor.jp/skjweekly/ ・同報メール http://cjcskj.exblog.jp/ ☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください http://www.kohara.ac/church/ …………………… ☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます) http://blog.livedoor.jp/cjcpress/ ☆CJC通信速報(Twitterを利用しています) http://twitter.com/cjcpress/ ―――――――― ■
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| 2011-05-09 18:23
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