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┏週刊━━━━━
┃世界 ┃キリスト教 ┃情報No.1274 ┗━━━━━━━ 2015.6.22 (連絡先:ckoriyama@gmail.com=ご連絡いただく際は「@」を半角にしてください) = 目 次 = ▼教皇フランシスコが回勅『ラウダート・シ』発表 ▼オバマ大統領や潘国連事務総長ら環境回勅歓迎 ▼環境問題「回勅」で温暖化対策促す教皇の意図 ▼「勇気づけられた」と国際カリタス会長 ▼米南部の黒人系教会で銃乱射され9人死亡 ▼米チャールストンの教会で銃乱射後初の礼拝 ▼バチカンが性的虐待で元大司教を起訴 ▼バチカンが高山右近の「福者」認定へ、共同通信報道 ▼ホーチミンの聖母マリア教会が年内に修復開始へ ▼《メディア展望》 ―――――――― ◎教皇フランシスコが回勅『ラウダート・シ』発表 【CJC=東京】教皇フランシスコは6月18日、「環境的回心」を呼びかける回勅『ラウダート・シ』を発表した。2013年6月に発表した『ルーメン・フィディ』(邦題=信仰の光)」に次いで、教皇フランシスコの第2番目の回勅。 バチカン放送(日本語電子版)によると、回勅の表題『ラウダート・シ』は、アッシジの聖フランシスコの「太陽の賛歌」の中の言葉「ラウダート・シ、ミ・シニョーレ」(「わたしの主よ、あなたは称えられますように」の意)から取られている。フランシスコはこの賛歌の中で、太陽や月、星、風、水、大地など、神が創られたすべてのものを通して、神を賛美している。 教皇はこの回勅を通して、わたしたちの家である地球が上げている叫びに耳を傾け、皆の共通の家を保全し、責任をもってその美しさを守るために「方向性を変えていく」よう、「環境的回心」を呼びかけている。 回勅は、序章とそれに続く全6章からなっている。 序章「わたしの主よ、あなたは称えられますように」 1章「わたしたちの家で起こっていること」 2章「創造の福音」 3章「環境危機の人間的原因」 4章「統合的エコロジー」 5章「いくつかの方向性と行動」 6章「環境的教育と霊性」 教皇は回勅で、環境問題に関する最新の科学的研究を踏まえ、気候変動・水問題・生物学的多様性の保護・環境的負債など、現在の環境危機のいろいろな様相を見つめている。(1章) そして、聖書を通して、ユダヤ教およびキリスト教的伝統の視点から、自然に対する人類の責任、すべての創造物の間にある親密な関わり、皆の共通の財産としての環境について考えている。(2章) 教皇は現在の環境危機の原因を、哲学や人間科学との対話のうちに分析。テクノロジーや、人間中心主義の弊害、また人間の労働や遺伝子組み換えの問題にも言及している。(3章) 回勅は、人類がこの世界で置かれた位置と、それを取り巻く現実を包括した「統合的なエコロジー」を提案する。 教皇は環境・自然をわたしたちが生きる様々な分野、経済・政治・文化・日常生活に密接に関わるものと認識し、環境問題と社会・人間問題を切り離すことのできないものとして提示している。(4章) 教皇は、わたしたちに何ができるか、何をすべきかとの問いに対し、社会・経済・政治のあらゆるレベルにおける誠実で透明性のある対話を提案。いかなるプロジェクトも、それが責任ある良心によって生かされていないならば、決して効果的ではあり得ないと指摘する。(5章) 教皇は、環境的回心のために、教育と育成の重要性を強調。文化的危機の根源は深く、習慣を改めることは容易ではないが、そのためにすべての教育環境を巻き込んだ歩みが重要になるとしている。 違う生活スタイルの選択によって、政治・経済・社会に健全な影響を与えると共に、小さな日常の態度、簡素な生活から、世界に対する責任と、弱い人々への配慮を持った、統合的エコロジーを目指すよう招いている。(6章) 教皇は、「創造主であり父である神」を信じるすべての人々と、キリスト教徒に向けた二つの祈りで、この回勅を締めくくっている。□ ―――――――― ◎オバマ大統領や潘国連事務総長ら環境回勅歓迎 【CJC=東京】教皇フランシスコが地球温暖化などの環境問題への行動を求める回勅『ラウダート・シ』を発表したことについて、バラク・オバマ米大統領や国連の潘基文事務総長らが6月18日、相次いで歓迎する声明を発表した。 教皇は、9月に米国やニューヨークの国連本部を訪問する。オバマ氏は「教皇の決断に深く敬服する。議論を楽しみにしている」とした上で、今年末にパリで開かれる気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)での温暖化対策の新枠組み合意に意欲を示した。 潘氏は、温暖化が主に人間活動が原因で起きているとする指針の内容を評価。「すべての宗教指導者による気候変動問題への貢献を歓迎する」と声明で述べた。□ ―――――――― ◎環境問題「回勅」で温暖化対策促す教皇の意図 【CJC=東京】教皇フランシスコが6月18日、「環境的回心」を呼びかける回勅『ラウダート・シ』を発表した。地球温暖化について気候変動と、生態系の破壊が深刻な結末を招きかねない、と懸念する教皇が、国際社会に敏速な行動を呼びかけたことが注目される。年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)での論議に影響を与える意図も認められる。 「回勅」第6章で、教皇は、環境的回心のために、教育と育成の重要性を強調し、習慣を改めることは容易ではないが、そのためにすべての教育環境を巻き込んだ歩みが重要になるとしている。 そして違う生活スタイルの選択によって、政治・経済・社会に健全な影響を与えると共に、小さな日常の態度、簡素な生活から、世界に対する責任と、弱い人々への配慮を持った、統合的エコロジーを目指すよう呼び掛けている。化石燃料の過剰使用を戒め、米国などを念頭に「排出大国」に削減努力を求めた。温暖化否定論を振りかざす米国保守派に再考を促した形になった。 「回勅」には教皇の、社会的弱者に寄り添う「貧者の教会」路線が反映されている。 教皇は今年3月の会見で、東日本大震災の福島第1原発事故などを旧約聖書の「バベルの塔」になぞらえ、「天に届く塔を造ろうとして、自らの破滅を招こうとしている」と述べている。 先々代の故ヨハネ・パウロ2世、前任のベネディクト16世と、歴代教皇も環境保護の重要性について発言しているが、環境問題に的を絞った「回勅」は初めて。□ ―――――――― ◎「勇気づけられた」と国際カリタス会長 【CJC=東京】カトリック教会の救援・開発機関『国際カリタス』会長のルイス・アントニオ・タグレ枢機卿(マニラ大司教)は6月19日、教皇フランシスコが18日発表した回勅『ラウダート・シ』について、今後のカリタスの活動を長く勇気づけるもの、と歓迎の意向を語った。 カトリック・ワールド・ニュースによると、タグレ枢機卿は「ゴミの山の上で生活している人たちの所を訪問する。子どもたちはゴミの中で生まれ、成長し、そこで死ぬ。自分をゴミのように感じている」として、「これは神の創造ではなく、人間が生み出したものだ。教皇フランシスコは、この現実に目を向けるよう全ての人に呼び掛けている。多くの害を引き起こしている経済構造を変え、他者と世界に対するわたしたちの責任を再び引き受けるために、新しいライフスタイルを目指すよう呼び掛けている」と語った。□ ―――――――― ◎米南部の黒人系教会で銃乱射され9人死亡 【CJC=東京】米南部サウスカロライナ州チャールストンにある同国最古の黒人系教会の一つ『エマニュエル・アフリカン・メソジスト・エピスコパル教会』で6月17日夜、銃撃事件が発生、礼拝中の9人が死亡、1人が重傷を負った。8人がその場で即死、2人が病院に搬送され、うち1人が怪我により死亡した。当時教会内には犯人を除き12人がいたと見られ、このうち3人は無事だった。 犠牲者のなかに同教会主任牧師で連邦上院議員のクレメンタ・ピンクニー氏(41)とその姉妹も含まれている。ピンクニー氏は13歳で牧師となることを決意。18歳で初めて牧師となっている。 CNN系列局のWISテレビが伝えた目撃者の話によると、教会に入ってきた男が「お前らは俺たちの女をレイプして俺たちの国を乗っ取ろうとしている。失せろ」と叫んで発砲したという。 男が「黒人を撃つ」と口走ったという証言もあり、警察は「ヘイトクライム」(憎悪犯罪)事件として捜査を進め、18日、現場から約400キロ離れたノースカロライナ州シェルビーで、サウスカロライナ州レキシントン在住の白人ディラン・ルーフ容疑者(21)を逮捕した。 バラク・オバマ大統領は「悲劇だ。癒やしと平和の場での死に心が張り裂けそうだ」として、銃を手にした人間がいかに凶暴になれるかということを、米国民は改めて思い返す必要があると訴え、「いずれわれわれは国家全体で、このような大量虐殺は他の先進国では起こらないという事実に向き合わなければならない。手を打てるかどうかは、われわれ自身に懸かっている」と述べた。 『エマニュエル・アフリカン・メソジスト・エピスコパル教会』は1816年に創設された。創設者の1人、デンマーク・ビーゼーは22年、奴隷制度に苦しむ黒人らによる暴動を計画したが事前に発覚、処刑されたことで知られる。教会は34年から南北戦争終結後の65年まで非合法化された。現在の教会の建物は1891年に建てられ、連邦政府から「歴史的建造物」に認定されている。 公民権運動の黒人指導者、故マーティン・ルーサー・キング牧師が演説したこともある。 米司法省は、容疑者の行為が黒人差別を禁じる公民権法に違反すると見て、調査する方針を表明。現場には、連邦捜査局(FBI)の捜査官も派遣された。□ ―――――――― ◎米チャールストンの教会で銃乱射後初の礼拝 【CJC=東京】銃乱射で9人が射殺される事件が起きた米南部サウスカロライナ州チャールストンの『エマニュエル・アフリカン・メソジスト・エピスコパル教会』で6月21日、事件後で最初の聖日礼拝が行われた。ノーベル・ゴフ牧師は「善良な市民が立ち上がることが、悪を制圧する唯一の方法だ」と訴え、公平で安全な社会を実現していく必要性を訴えた。共同通信が報じた。 同日早朝には礼拝に参加するため数千人が教会の前に並んだ。全米の約100以上の教会が同日朝、一斉に追悼の鐘を鳴らした。□ ―――――――― ◎バチカンが性的虐待で元大司教を起訴 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は6月15日、元駐ドミニカ共和国大使のヨゼフ・ベゾロフスキ元大司教を性的虐待罪で起訴し、7月11日に審理を開始すると発表した。AFP通信が報じた。バチカン内で高位聖職者が性的虐待により起訴されたのは今回が初めて。 ベゾロフスキ元大司教はポーランド出身。バチカンは、同元大司教が定期的に少年らに金銭を与えて性的行為に及んでいたという情報を入手し、2012年にドミニカ共和国から内密に召還していた。 AFP通信によると、元大司教は、14年6月に教会内法廷で聖職者資格を剥奪されたにもかかわらず依然、自由の身だったが、同年9月に自宅軟禁処分となった。バチカンは、この処分は教皇フランシスコ教皇から直接下されたものだとしている。 さらにバチカンは15日、小児性愛の聖職者から未成年者を守れなかったとして、米国の高位聖職者2人の辞職も発表した。 バチカンは10日、神父らによる児童への性的虐待を隠蔽(いんぺい)した司教を裁く法廷を新設すると発表している。教皇の諮問委員会が法廷設置を求める勧告を出し、教皇が受け入れを決めたもの。 性的虐待を隠蔽したり再発防止を怠ったりした司教は、教会法によって「聖職乱用」の罪を犯したとみなされる。 バチカンによると、2004~13年の10年間に3420件の虐待被害の申し立てがあり、848人の聖職者が資格を剥奪された。しかし隠蔽した司教の責任を問い、処分を下す組織的な司法制度は整っていなかった。□ ―――――――― ◎バチカンが高山右近の「福者」認定へ、共同通信報道 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)が、江戸時代に幕府の禁教令で国外追放となり、1615年に死亡したキリシタン大名、高山右近を「聖人」となる前段階の「福者」に認定する手続きを進めることを6月22日までに了承した。バチカン関係筋によるとして共同通信が報じた。 教皇フランシスコの承認を経た上で、年内か来年初めにも正式に発表される見通し。福者認定の儀式「列福式」は来年日本で行われる予定という。 今年は右近の没後400年に当たることから、日本カトリック司教協議会は大名の地位を捨てて信仰に命をささげた殉教者として、右近を福者に認定するようバチカンに申請していた。 共同通信は、右近について、大阪で生まれ、父の影響で洗礼を受けた。織田信長や豊臣秀吉に仕え、高槻(大阪府高槻市)や明石(兵庫県明石市)を治めた。1614年に国外追放され、翌年にフィリピン・マニラで病死したと紹介している。□ ―――――――― ◎ホーチミンの聖母マリア教会が年内に修復開始へ 【CJC=東京】フランス植民地時代から残るホーチミン市内の歴史的建造物『ドゥックバー(聖母マリア)教会』の修復工事が年内にも始まる見通しになった、とベトジョー・ニュースが17日伝えた。7月に同教会のホー・バン・スアン司祭が渡仏して、修復に必要なガラスや瓦などについて報告するという。 同司祭によると、工事は3カ月後を目途に始まり、修復には数年を要する。 同教会は現在、かなり老朽化が進んでおり、特に長い年月、雨風にさらされた屋根は深刻な状態となっていることから、教会側は、これ以上計画を先延ばしにすることは不可能と判断し、修復工事の開始を決めた。□ ―――――――― 《メディア展望》 =カトリック新聞(6月21日)=http://www.cwjpn.com ★名古屋教区 松浦司教が着座=“神のビジョン”実現目指して=前任の野村司教に感謝 ★教皇、露大統領と会談=ウクライナの平和求める ★バチカン=「職権乱用」審理へ=性虐待、司教調査の新体制 ★エベレスト・インターナショナル・スクール、ジャパン=被災校の再建支援=ネパール大地震で5千校全壊 ★現代能『長崎の聖母』米国公演=平和の尊さ訴える =キリスト新聞(6月20日)=http://www.kirishin.com ★赤木善光氏インタビュー=〝儀礼の底に宗教意識〟=神学者としての歩み振り返る=「もう少し視野を広げれば…」 ★日本軍「慰安婦」問題解決に向け会議 ★悔い改めの決意、次世代へ=戦後70年にあたり日本福音同盟が声明 ★キリスト教主義大学の課題とは=大西晴樹氏が恵泉女学園大で講演 ★「神」を女性としても、と英国教会で =クリスチャン新聞(6月21日)=http://jpnews.org ★戦後70年の福音派を総括 第30回JEA総会=聖書信仰をすべての基準に ★「寺社に油事件」で牧師ら説明会=村上密氏「証拠動画入手 警察に提供した」=櫻井寿子氏「命令下れば何でも実行に危険感じた」 ★JEA社会委 安保関連法に声明=平和主義転換に憂慮 ★聖公会・京都教区が元牧師性暴力事件と対応を謝罪 ★自然エネルギー、総合芸術の例から「ローザンヌ・シンポ」=世界の変革に携わるキリスト者を ―――――――― ◆世界キリスト教情報◆ご案内 ☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは http://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。 ☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは ckoriyama@gmail.com=ご連絡いただく際は「@」を半角にしてください ☆『週刊・世界キリスト教情報』既刊号は下の各サイトで ・ニュースレター=PDF http://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/ ・メールマガジン http://blog.livedoor.jp/skjweekly/ ・同報メール http://cjcskj.exblog.jp/ 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