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イスラム教の聖典コーラン焼却計画を打ち出していた米フロリダ州ベインズビルの教会『ダブ・ワールド・アウトリーチ・センター』のテリー・ジョーンズ牧師は結局、計画を撤回した。1小教会でありながら、焼却計画が発表されると、たちまちに全米に関心が広がった。 ホワイトハウスのロバート・ギブズ報道官は、「福音派による扇動的な」行動は、イスラム世界で激しい抗議を巻き起こす危険性があると懸念を表明した。アフガニスタン駐留米軍のデービッド・ペトレアス司令官は、「米軍部隊を危険にさらし、これまでの努力を危うくしかねない」とウォール・ストリートジャーナル紙に述べた。 一躍、時の人になったジョーンズ牧師は、センター跡地近くにイスラム・センターとモスクを建設する計画の主宰者イマム・フェイサル・アブダル・ラウフと会談して、建設地の移動を取り付けることを期待し、10日遅くニューヨークに到着した。ただ会談が、決まってはいなかったことも明らかになった。 同氏は、NBCテレビの『トゥデー』番組にも登場、予定していたコーラン焼却計画は撤回し、今後は行わない、と繰り返した。「神が止めるよう語られていることを感じる」と言う。焼却計画への反応で、イスラム教への関心を高めるという目標がある程度達成出来たからだ、と語った。 同氏の断念にもかかわらず、コーランを燃やしたり破ったりする行為が相次いだ。 ニューヨークのマンハッタン南部で男がコーランのページを破り、それに引火するなどした。ワシントンでは、ホワイトハウス近くで、「キリスト者」を名乗るグループがイスラム教を非難しながらコーランを数ページ破る騒ぎがあった。テネシー州ナッシュビル近郊では11日、ボブ・オールド、ダニー・アレンの牧師2人が自宅の庭でコーランを焼却した。米国憲法と市民を守るためとしている。 アフガニスタン北東部では12日、数千人が抗議デモに参加、解散させようとした保安部隊の銃撃を受け2人が死亡している。ロバート・ゲーツ国防長官は9日、ジョーンズ牧師に電話をかけ、コーラン焼却を実行すればアフガニスタンやイラクに駐留する米兵らの命を危険にさらすことになると警告していた。 一方、マサチューセッツ州聖書協会は、ジョーンズ牧師がコーランを焼いた場合、倍の冊数のコーランを拘置所、病院、救護所などに無償で提供する、と発表した。焼却にキリスト者が全員賛成してはいないことを示すため、と言う。□ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◎教皇、11月にコンシストリーか、新枢機卿任命も 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世が、10月24日に閉幕する中東シノドス前に、コンシストリー(教会会議)の11月開催を発表する、と伊紙ラスタンパのバチカン担当マルコ・トサッティ記者が報じた。同記者は、教皇がその際に新枢機卿を任命する、と予測している。 バチカン文化評議会元議長のパウル・プパール枢機卿が8月30日、80歳を迎え、次期教皇選出会議(コンクラーベ)に参加出来なくなった。これで有資格枢機卿は106人になったが、9月中にさらに3人、10、11月に1人ずつが80歳に達することで101人にまで減少する。 有資格枢機卿の定員は120人とされており、教皇が近く新枢機卿を任命するとの観測が強まった。 トサッティ記者は、バチカン内部から列聖省長官のアンジェロ・アマート大司教、使徒座署名院最高裁判所長官のライモント・レオ・バーク大司教、キリスト教一致推進評議会議長のクルト・コッホ大司教、文化評議会議長のジャンフランコ・ラヴァージ大司教の4人が選任されると見ている。 各教区からは、モナコ、ワルシャワ、トレド、ウエストミンスター、ユトレヒト、メヘレン=ブリュッセル、キンシャサ、ヤウンデ、カンパラ、ワシントン、トロント、モンテヴィデオ、リオデジャネイロの大司教の名前をあげている。 カトリック通信CNAは、アジアではスリランカ、中国、日本から選ばれる、と予測している。トサッティ記者は、アジアから任命される3人を、コロンボのマルコルム・ランジス大司教、ヤンゴンのシャルル・マウン・ボ大司教、東京の岡田武夫大司教と予想している。□ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◎教皇、16日から国賓として英国訪問 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は9月16日から19日まで英国を訪問する。教皇の英国訪問は、1982年にヨハネ・パウロ2世が「司牧訪問」しているが、「国賓」としては今回が初めて。 訪問のテーマとして掲げられた「心は心に語りかける」は、ジョン・ヘンリー・ニューマン枢機卿のモットー。教皇は英国滞在の最終日、同枢機卿の列福式を行う。 訪問初日16日、教皇はエジンバラに到着。ホリールードハウス宮殿で歓迎式の際、エリザベス2世女王と会見する。 17日、教皇はロンドンのセント・メアリーズ大学でカトリック系教育関係者や諸宗教代表者と会談。英国国教会カンタベリー大主教をランベス宮殿に表敬訪問や、英国国教会ウエストミンスター・アベイでのエキュメニカルな祈りの集いに参加する。 18日、教皇は英国首相、副首相、野党代表者らと会見、カトリックのウエストミンスター大聖堂でミサを行う。ハイドパークでニューマン枢機卿列福式の前夜の祈り。 19日、バーミンガムのコフトン・パークで教皇はミサを行い、その中でニューマン枢機卿の列福式を行う。 日程の中で性的虐待の被害者と教皇は会うか。これまでの各国訪問では会っている。またオーディション番組から一躍世界的スターになった女性歌手スーザン・ボイル(49)が教皇の面前で歌うことにも関心が集まっている。 教皇の国賓としての訪英で1200万英ポンド(約15・6億円)を英政府が負担すると見られていたところから、公金支出への疑問が出されていた。 公共神学シンクタンク『テオス』が2005人を対象に行った調査では、79%が訪英に「関心がない」と回答、また77%が、訪英費用を納税者が負担する必要はない、と回答している。 ウエストミンスター教区のビンセント・ニコルズ大司教は公営BBC放送で、「教皇はこの惑星(地球)の全人類の5人に1人の霊的指導者として来るので、非重要人物ではない」として、納税者が教皇訪英費用を負担するのは正しい、と語った。 大司教は、「公式訪問であり、この国が扉を閉ざし、公式訪問に対応出来ないということになると、それは孤立主義の意思表示であり、その日は、非常に悲しい日となる」と語った。□ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◎スイスの牧師が離婚直後の男性専用「避難施設」 【CJC=東京】スイス・プロテスタント教会のアンドレアス・カバルザル牧師が、チューリヒ湖畔エルレンバッハに、離婚直後の男性を支援する施設をオープンした。離婚したばかりの男性を対象にしたものとしては同国では初めてのシェルター。 ロイター通信によると、同牧師は「8割方は妻が離婚を切り出し、子どもとともに家に残って、夫はスーツケースを抱えて家を出るケース」と説明。その上で「誰もがまず屋根とベッドが必要」と述べ、家を出た男性たちには当座の避難場所が必要だと語った。 シェルター計画は2009年9月、離婚した男性4人が同牧師に助けを求めてきたのがきっかけに、始まった。 「客」と呼ばれる利用者は、滞在費として週170スイス・フラン(約1万4000円)を支払う。同時に3人までの受け入れが可能。子どもと会いたい利用者のための寝室も2室ある。 3人と少人数のため、話し合い、助け合って生活する中で「自助グループ」を作るようになるという。 利用者の中には数日で退去する人もいれば数週間いる例もあるが、滞在はなるべく短期にするよう図っている。□ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◎マジョルカ島に欧州初のキリスト教テーマパーク計画 【CJC=東京】地中海西部マジョルカ島北東部カプデペラに、欧州初のキリスト教テーマパークを建設する計画がある。英紙ザ・ガーディアンが報じた。バチカン、ルルド、ファティマとカトリック信者にとって欠かせない巡礼先だけでなく、キリスト教ゆかりの名所に事欠かない欧州で、観客をひきつけられるか注目される。 7ヘクタールのごみ集積場に資金1000万ユーロ(約10・6億円)で建設されるテーマパーク、「聖地」を売り物に成功すれば地元経済をうるおすことにもなろう。 計画を打ち出したシグマ社は、アルゼンチンのブエノスアイレスでキリスト教主体の『ティエラ・サンタ』を運営しているという。その特色の一つが、人類創造、キリスト生誕、復活、最後の晩餐など様々な場面を1日8回上演するショー。 マジョルカ島の施設では、主役だけでなく、端役のローマ市民やパレスチナ人の衣装にも考証を加え、「皆が霊性の起源について学べる所」を目指す。『嘆きの壁』やローマ帝国の裁判所の複製も造る計画。 米フロリダ州オーランドにある『聖地体験』やシンシナチ近郊の創造博物館といった米国のキリスト教関係の興行施設の成功を意識したというが、キリスト教人口の減少傾向が目立つ欧州で、果たして成功するか、現地側も申し出があったことは認めたものの、態度を決めかねているようだ。□ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 《短信》CJC通信Twitter速報『cjcpress』から。 《アジア》 ▽マレーシアのテレビが、ハリラヤ(断食月明け大祭)のコマーシャル映像を9月3日から放映したところ、サンタクロースがトナカイが引くソリで空を駆けている様子に似ているとの苦情がイスラム教徒の視聴者から出され、急ぎ放映を取り止め、視聴者に謝罪した。 《大洋州》 ▽豪カトリック教会は、葬儀の際にポップ、ロック音楽やフットボールの応援歌などを歌わないよう、司祭や関係者に指示した。 《欧州》 ▽英理論物理学者スティーヴン・ホーキング博士が新著「グランド・デザイン」で、重力の法則のように、宇宙は自身を無から創造出来る。神に頼る必要はない、と主張したことに、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教指導者の反論が相次いでいる。 《北米》 ▽胚性幹細胞研究への助成解禁の仮差し止め命令を受けて米司法省が仮差し止め命令の停止を求めていた問題で、米連邦地裁のロイス・ランバース判事は9月7日、仮差し止めの停止は行わないとの命令を出した。 ▽メキシコ湾のBP社原油流出被害救済に当たっている『カトリック・チャリティーズ』会長のラリー・スナイダー神父は、同社が被災者救援を進めていない、と語った。 ▽米国郵便が、福者マザー・テレサの死去記念日の9月5日、特別切手を発行した。ジョン・ポッター総裁は、「誇りに思う」と語った。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 《メディア展望》 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― =カトリック新聞(9月12日)=http://www.cwjpn.com ★「終身助祭の集い」開催=働き方や課題、話し合う=5年ぶり ★日本カトリック学校連合会・小中高連盟=新任校長に初の研修会=参加者の半数がノンクリスチャン=修道会の撤退、修道者減少受け実現 ★新潟教区 青年たち=ハバロフスクの教会と交流=同じ信仰もつ異文化の仲間に出会う ★関東大震災で何が起きたのか?=正平協=講演や追悼の祈り=朝鮮人らの虐殺事件めぐり ★キム総書記、教会訪問=中国・吉林で短時間=宗教への立場 改善なし =キリスト新聞(9月11日)=http://www.kirishin.com ★日本聖書協会『標準訳』(仮称)で本紙調査=新たな翻訳への期待=学者、牧師、有識者ら18人の声=必要性自体を問う声も ★キリスト教性教育研究会で学者ら報告=「禁欲重視」教育が有効 ★「慰安婦」問題の解決求め世界連帯同時行動=“負の遺産”負わせるな ★マザーテレサ生誕100年で岡田大司教“笑顔の裏に苦悩も” ★米福音ルーテル=不満派が新組織「北米ルーテル教会」結成 =クリスチャン新聞(9月12日)=http://jpnews.org ★房総でシンポ地方伝道=地域で信頼される教会がカギ=首都圏にある過疎地の問題 ★きみの価値≠人の評価=「たいせつなきみ」人形劇で伝えたい ★「世界で最も健康な教会」の韓国プンソンハン教会=「二つの翼カンファレンス」日本初開催=日本の教会に変化が必要=キム・ソンゴン牧師 ★パキスタン洪水にワールドビジョン救援=被害最大3州で保健ケア ★パキスタン=救援活動をタリバンが襲撃、死者も ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ●世界キリスト教情報●ご案内 ☆速報をTwitterで発信しています ………… http://twitter.com/cjcpress/ ☆活動紹介・購読(無料)お申し込みは ……………………… http://homepage3.nifty.com/cjc-skj/ ☆既刊号をご覧頂くには ………………………… (FAX版=PDF)http://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/ (テキスト版閲覧用) http://blog.livedoor.jp/skjweekly/ (テキスト版転載用、非整形) http://cjcskj.exblog.jp/ ☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください ……………………… http://www.kohara.ac/church/ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■
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| 2010-09-20 07:51
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